ワイルドデッキガイド【亡霊ローグ】

今回は《亡霊ローグ》を取り扱う。

《亡霊ローグ》はワイルド環境のコンボデッキだ。事前にプレイ枚数を十分稼いだ上で「略奪の亡霊」をプレイし、OTKを狙う。このとき、通常1ターンに30枚ものカードをプレイすることは困難なため、「サメの精霊」とのセット運用が基本となる。

 

今回のガイドでは、参考までに、一部過去の《亡霊ローグ》についての情報も記載している。現在の情報だけ知りたい場合には、目次から第三世代の項まで飛んでほしい。

 

第一世代:影の殺し屋型亡霊ローグ

《亡霊ローグ》というデッキが初めて誕生したのは、2019年の拡張セット「激闘!ドラゴン大決戦」実装後である。

このデッキにおけるキーカードは、同拡張のガラクロンドシナジーカードである「影の殺し屋」。「影の殺し屋」は祈願2回達成という条件を満たしたとき、雄叫びでコインを3枚手札に加える効果を持っている。この効果のおかげで、プレイ枚数稼ぎとマナの踏み倒しがともに可能となり、6コストと必要マナが重く、また事前に複数枚のプレイを要求する「略奪の亡霊」を活用できるようになった。

コンボの流れとしては、まず祈願カードを2枚使用するところから始まる。「陰の殺し屋」の効果を起動するためには、前提条件として対戦中2回の祈願が必要であるためだ。その後、手札に「サメの精霊」、「陰の殺し屋」、「略奪の亡霊」の3枚+もう一枚の「陰の殺し屋」か「影隠れ」が揃えば準備完了である。

「サメの精霊」をプレイ後、条件を満たした「陰の殺し屋」をプレイすると、6枚のコインが入手できる。それらを全部使うと1ターンのプレイ数が8枚、何らかの手段でもう一度「陰の殺し屋」をプレイすると最低でも1ターンのプレイ数が15になり、略奪の亡霊で15×2の30点を出すというコンセプトのデッキだった。

参考:当時使用していたデッキ

デッキリスト:AAEBAaIHBMQBmwX+rgPLwAMNzQO9BPW7AtvjAt/jArSGA7auA7muA86vA5GfBPafBPefBI3sBQA=

第一世代亡霊ローグの問題点

このデッキは構造的な問題を複数抱えていた。

 

まず当時のローグは、ドローがそれほど強くないヒーローであったということ。当時のローグのドローカードは、2マナ1ドローの「ドス」や4マナ2ドローの「エルフの吟遊楽人」など、ドローとしてみるとマナ効率が悪いカードばかりであり、またそもそもドローカード自体の枚数が少なかった。そのため現在よりも環境が低速であったことを考慮しても、コンボに必要なカードを集めきることが困難だった。

 

また祈願カードの使用についても、大きく分けて二つの問題があった。

まず一つ目の問題は、単純に祈願カードの単体スペックが低かったということである。コンボデッキでの採用を考えたとき、祈願カードにはワイルド環境での実用に耐えるカードがほとんどなかった。辛うじて採用できる祈願カードは、1マナの「ガラクロンドを讃えよ!」と3マナの「刻まれし運命」のみ。またそれらのカードですら、プレイすることによって得られる直接のアドバンテージは皆無であり、なるべく消費マナを抑えた上で祈願を進めるため選択されたものだった。

こうした構築上の問題により、祈願2回という条件はデッキ中4枚しかない祈願カードのうち、2枚を引かなければならず、その上で引いたカードをプレイする隙を作らなければならないという、過大に難しいものとなった。

 

祈願カードに関するもう一つの問題は、ローグのガラクロンドの祈願時効果が、『手札に「悪の手先」カードを1枚加える』というものであったことである。

第一世代の亡霊ローグは、「陰の殺し屋」の効果で加えるコインが、プレイ枚数稼ぎとマナの踏み倒しを兼ねている。だからこそ、手札上限で溢れるコインがあるというのは致命的であり、コンボ始動前にコンボパーツ含め手札を6枚以下に減らす必要があった。ここで問題となったのが前述の祈願時効果だ。コンボの前提を達成する過程においては手札にカードが加わる、しかしコンボの始動時には手札を減らしていなければならない。この噛み合いの悪さのため、コンボの前提を達成し、尚且つコンボパーツを揃えた上で、さらにコンボの始動までのタイムラグが生じることになった。

 

まとめると、第一世代の亡霊ローグは

・必要パーツを揃えるためのドローが弱い

・コンボ始動が遅い(「陰の殺し屋」の事前準備が煩雑)

これらの問題を構造的に抱えていた。

 

またこれらの問題は、

・コンボ始動前にアグロ・ミッドレンジデッキに轢かれる

・コンボを達成しきっても装甲系コントロールデッキに耐えられる

といった形で、実際の試合に現れ、勝率を著しく下げていた。

 

では、これを踏まえ、第二世代の亡霊ローグを見ていこう。

第二世代:スキャブス型亡霊ローグ

第二世代の亡霊ローグは、ワイルド環境において最も長く使用された《亡霊ローグ》であり、誕生から1年以上の間大きく形を変えることなく使用され続けた。長く使われただけあって、日本語のデッキガイドも存在している。

第二世代亡霊ローグの誕生

亡霊ローグというアーキタイプにとって転機が訪れたのは、2021年の拡張セット「荒ぶる大地の強者たち」実装後。

 

元々2019年に第一世代の亡霊ローグが誕生して以来、2021年のこの拡張までにローグのドローなどは大きく強化されていた。そのため、あとは「陰の殺し屋」に替わるプレイ枚数稼ぎ・マナ踏み倒しカードさえあれば、前述の構造的な問題を克服し、デッキとして大幅に強化されるといった状態だった。

 

そういった状態の中、同拡張で実装されたのが「スキャブス・カッターバター」である。「スキャブス・カッターバター」はコンボで使用した時、次に使用するカード2枚のコストを3下げるという効果を持っている。この効果がワイルドプールのカードと強力なシナジーを発揮し、「影の殺し屋」に替わるコンボの起点となったことで、第二世代の亡霊ローグが誕生した。

参考:当時使用していたデッキ

デッキコード:AAEBAaIHBOXRA8PhA53wA5afBA29BPW7AtvjAt/jArSGA9/dA+LdA+fdA/7uA5GfBPafBPefBI3sBQA=

 

第二世代の亡霊ローグは、ワイルド環境においても実用に耐えるデッキとなっており、また第三世代の亡霊ローグと基礎を同じくしている。そのため、ここからはデッキ構築とプレイングについても扱っていく。

なおとマッチアップ相性については、説明が環境に依存する部分があるため、後述の第三世代亡霊ローグでのみ扱うこととする。

デッキ構築

当時およそ必須枠と認識されていたカードは以下のようになる。

役割:コンボ起動・プレイ枚数稼ぎ

「偽造コイン」2枚

「段取り」2枚

「死角からの一刺し」2枚

役割:ドロー

「ペテン」2枚

「エルフの吟遊楽人」2枚

「隠蔽の帳」2枚

拡張セット「風集うストームウィンド」実装後

「ブラックウォーター・カトラス」2枚 

役割:コスト軽減

「狐の騙し屋」2枚

「スキャブス・カッターバター」1枚

役割:手札回収

「影隠れ」2枚

「赤煙のテンウー」1枚

役割:フィニッシャー

「略奪の亡霊」2枚

「サメの精霊」2枚

合計22枚(24枚)

 

数枚が選択枠であり、個々人の色が出る部分だった。

候補カードとしては以下のようになる。

 

役割:コンボ起動・プレイ枚数稼ぎ

「ちょいと拝借!」0~1枚

拡張セット「風集うストームウィンド」実装後

「ポスト乗り乗りダンサー」0~2枚

役割:ドロー

「秘密の通路」0~2枚

「ドス」0~2枚

「シルバーリーフの毒」0~1枚

「逃げ足」0~1枚

拡張セット「風集うストームウィンド」実装後

「SI:7の強要」0~2枚

役割:手札回収

「幻影ポーション」0~2枚

「九死一生」0~1枚

役割:防御

「影纏い」0~2枚

「雲隠れ」0~2枚

デッキ構築についてのまとめ

 

次に基本的なプレイ方針とコンボの流れについて説明する。

プレイ方針

マリガンでは、手札を増やすことが出来るドローカードを探しに行く。

具体的には「ペテン」、「隠蔽の帳」、「エルフの吟遊楽人」などである。

「ペテン」とのセットキープで「段取り」、「狐の騙し屋」もキープする。

 

基本的にこれら以外のカードをマリガンで残す必要はなく、「略奪の亡霊」含むコンボに必要なカードは試合中に引きに行くものだと考えてほしい。

 

試合中の流れとしては、マナを効率的に使い、ドローを進めていく。これはコンボに必要なカードを手札に揃えるためである。遅くとも8ターン目、理想的には5~6目までに、手札にコンボパーツを揃えることを目指す。

試合中、意識することは、

・今足りていないコンボパーツの枚数

・現状の手札でコンボを始動するために必要なマナ

・自分の体力

おおよそこれらについてであり、コンボパーツが足りない場合はドロー、マナが足りない場合には「影纏い」など防御札での遅延や「サメの精霊」の事前プレイなど2ターンに分割したコンボ展開、自分の体力が少ない場合には「死角からの一刺し」などでの盤面除去や防御札での延命を行う。

 

必要なコンボパーツを揃えた後は、ミスなくコンボを展開し、リーサルを決める。

基本的なコンボ展開

第二世代の亡霊ローグにおいて、基本形となるコンボ展開は次のような形だ。

  1. 任意の0マナカードをプレイする。
  2. 「サメの精霊」をプレイする。
  3. 「狐の騙し屋」をプレイし、次にプレイするコンボカードのコストを4下げる。
  4. 0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使う2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  5. 0マナになった「赤煙のテンウー」をプレイし、1マナの「スキャブス・カッターバター」を手札に回収する。
  6. 0マナになった任意のカードをプレイする。
  7. 1マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使う2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  8. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、7×2 の 14 点を相手に与える。
  9. 0マナになった2枚目の「略奪の亡霊」をプレイし、8×2 の 16 点を相手に与える。

第二世代の亡霊ローグでは、この動きを基本とした上で、手札の状況に合わせてコンボ展開を行うことになる。

 

《亡霊ローグ》のコンボ展開について、派生的なものを2つ紹介する。

1つ目は、手札に「略奪の亡霊」が存在せず、尚且つデッキ内のミニオンが4枚以下のときに行う。コンボ展開の一例としては以下のようになる。

  1. 任意の0マナカードをプレイする。
  2. 「サメの精霊」をプレイする。
  3. 「狐の騙し屋」をプレイし、次にプレイするコンボカードのコストを4下げる。
  4. 0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使う2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  5. 0マナになった「エルフの吟遊楽人」をプレイし、デッキからミニオンを4枚引く。
  6. 0マナになった「赤煙のテンウー」をプレイし、1マナの「スキャブス・カッターバター」を手札に回収する。
  7. 1マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使う2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  8. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、7×2 の 14 点を相手に与える。
  9. 0マナになった2枚目の「略奪の亡霊」をプレイし、8×2 の 16 点を相手に与える。

2つ目は、手札に「略奪の亡霊」が1枚しかなく、尚且つ手札に「エルフの吟遊詩人」が存在しない場合に行う。コンボ展開の一例としては以下のようになる。

  1. 任意の0マナカードをプレイする。
  2. 「サメの精霊」をプレイする。
  3. 「狐の騙し屋」をプレイし、次にプレイするコンボカードのコストを4下げる。
  4. 0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使う2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  5. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、3×2 の 6 点を相手に与える。
  6. 0マナになった「幻影ポーション」をプレイし、1マナの「サメの精霊」、「狐の騙し屋」、「スキャブス・カッターバター」、「略奪の亡霊」を手札に加える。
  7. 1マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使う2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  8. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、6×2 の 12 点を相手に与える。
  9. 0マナになった2枚目の「略奪の亡霊」をプレイし、7×2 の 14 点を相手に与える。

応用的なコンボ展開

アグロ対面やクエストメイジ対面など、可能な限り早くコンボを始動することが求められるマッチアップでは、コンボ始動に必要なマナを如何にして減らすかが重要となる。

 

ここでは、特に頻出する動きを紹介する。

「サメの精霊」を事前にプレイし、次のターンにコンボを始動。

「サメの精霊」は、プレイしたターン隠れ身を持つため、相手に処理されにくい。プレイ枚数を稼ぐための低マナカードと「狐の騙し屋」、「エルフの吟遊楽人」などが手札にある場合、次のターン生きて帰ってきた「サメの精霊」を用いてコンボを始動する。

この動きは、特にパラディンやメイジ、ローグ対面で有効であり、決まればそのまま勝てるほど強い。またドルイドやプリースト対面でも、タイミングを選べば、相手の動きを縛り処理を強要できる点で、勝ちにつながる動きである。

ただし、これはデッキに「サメの精霊」が2枚採用されているおかげで可能な動きであることに注意してほしい。基本的に、亡霊ローグが「サメの精霊」なしでリーサルを決めることは不可能であるため、1枚しかない「サメの精霊」を雑にプレイし、それが処理されてしまった場合、そのままコンシードするしかない。

 

2~4ターン目のコンボ起動で使用した「狐の騙し屋」を、「影隠れ」で手札に戻す。

亡霊ローグの2~4ターン目はひたすらドローを進めるターンである。その中で「ペテン」や「エルフの吟遊楽人」など、コンボ系ドローカードを使用することがある。この時、基本的には「狐の騙し屋」を使用しない。ここで「狐の騙し屋」を使用すると、数ターン後の「サメの精霊」が絡むコンボ展開が出来なくなるためだ。

しかし手札に「影隠れ」がある場合、少し違う動きが可能になる。

例えば2ターン目、「狐の騙し屋」をプレイし、0マナになった「ペテン」をプレイしたとする。これは2ターン目の動きとしてはマナ効率もよく、出来れば狙いたい動きだ。ここで「影隠れ」を「狐の騙し屋」にプレイすると、0マナの「狐の騙し屋」が回収できる。

この0マナの「狐の騙し屋」は、手札次第ではあるが、リーサルターンを1~2ターン早める効果がある。「サメの精霊」+「狐の騙し屋」→「スキャブス・カッターバター」の動きは本来6マナ必要だが、4マナで足りるようになり、早期のコンボ始動が可能となる。

 

「狐の騙し屋」を「影隠れ」で戻し、そのターンのうちに再度プレイ。

この動きは、主に2つのパターンにおいて行う。

1つ目のパターンは、手札に多くの手札回収カードと「スキャブス・カッターバター」がある場合に行う。

「狐の騙し屋」を「影隠れ」で戻し、そのまま再度プレイすると、次にプレイするコンボカードのコストを4マナ下げることができる。この時使用したマナは2マナであり、本来必要なマナから2マナ浮いたことになる。ここから「スキャブス・カッターバター」に繋げることで、早期のコンボ始動が可能だ。

実際の動きの一例としては以下のようになる。

  1. 1マナの「狐の騙し屋」をプレイし、次に使用するコンボカードのコストを2下げる。
  2. 「影隠れ」を「狐の騙し屋」に使用し、0マナの「狐の騙し屋」を手札に回収する。
  3. 0マナの「狐の騙し屋」をプレイし、次に使用するコンボカードのコストを2下げる。
  4. 0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイして、次に使用する2枚のカードのコストを3ずつ下げる。
  5. 1マナになった「幻影ポーション」をプレイし、1マナの「スキャブス・カッターバター」、「狐の騙し屋」を手札に加える。
  6. 1マナになった「サメの精霊」をプレイする。
  7. 1マナの「狐の騙し屋」をプレイし、次に使用するコンボカードのコストを4下げる。
  8. 0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイして、次に使用する2枚のカードのコストを6ずつ下げる。
  9. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、8×2 の 16 点を相手に与える。
  10. 0マナになった2枚目の「略奪の亡霊」をプレイし、9×2 の 18 点を相手に与える。

この例では、5マナで8×2+9×2 の 34点を相手に与えることが出来る。

2つ目のパターンは、手札に「サメの精霊」と「エルフの吟遊楽人」、「狐の騙し屋」があり、尚且つ手札に「スキャブス・カッターバター」がない場合に行う。

「狐の騙し屋」で「エルフの吟遊楽人」を踏み倒し、デッキのミニオンを引き切ったうえで、引いてきた「スキャブス・カッターバター」を使い、「略奪の亡霊」によるOTKに繋げる。

実際の動きの一例としては以下のようになる。

1. 4マナの「サメの精霊」をプレイする。

2. 2マナの「狐の騙し屋」をプレイし、次に使用するコンボカードのコストを4下げる。

3. 「影隠れ」を「狐の騙し屋」に使用し、0マナの「狐の騙し屋」を手札に回収する。

4. 0マナになった「エルフの吟遊楽人」をプレイし、デッキからミニオンを4枚引く。

5. 0マナの「狐の騙し屋」をプレイし、次に使用するコンボカードのコストを4下げる。

6. 0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用する2枚のカードのコストを6ずつ下げる。

7. 0マナになった「赤煙のテンウー」をプレイし、1マナの「スキャブス・カッターバター」を手札に回収する。

8.  0マナになった「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用する2枚のカードのコストを6ずつ下げる。

9. 0マナの「略奪の亡霊」を2枚プレイする。

この例では、6マナで8×2+9×2 の 34点を相手に与えることが出来る。

「スキャブス・カッターバター」の効果で「幻影ポーション」のコストを下げ、1マナの「スキャブス・カッターバター」+α を手札に加える。

この動きは、現状ではコンボ始動が見込めず、また手札に「狐の騙し屋」や「赤煙のテンウー」があるとき行う。基本的にはドローを進めつつ、次のターン使用できるマナを増やすことを目的とする。

実際の動きの一例としては以下のようになる。

  1. 「狐の騙し屋」をプレイし、次に使用するコンボカードのコストを2下げる。
  2. 2マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用する2枚のカードのコストを3下げる。
  3. 0マナの「赤煙のテンウー」をプレイし、1マナの「スキャブス・カッターバター」を手札に回収する。
  4. 0マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用する2枚のカードのコストを3下げる。
  5. 0マナの「隠蔽の帳」をプレイして、デッキからミニオンを2枚引く。
  6. 1マナの「幻影ポーション」をプレイし、1マナの「狐の騙し屋」、「スキャブス・カッターバター」、「赤煙のテンウー」を手札に加える。

ここまでで、第二世代の亡霊ローグについて、その誕生経緯からデッキ構築、プレイ方針までを解説した。これを踏まえ、次は第三世代の亡霊ローグについて解説していく。

第三世代:6ミニオン亡霊ローグ

第二世代の亡霊ローグは、コンボの起点を「陰の殺し屋」から「スキャブス・カッターバター」に変更することで、非常に強力なコンボデッキとなった。

 

この第二世代の亡霊ローグは、7~8枚カードをプレイした後「略奪の亡霊」を2枚使用することで30~34点を相手に叩き込むデッキであり、30点の体力の相手に対する、早期のOTKを得意としていた。一方で、これ以上の打点を出そうとすると、コンボ始動が著しく遅れるという弱点も持っていた。

 

第二世代の亡霊ローグが環境から消えたのは、この弱点が原因となっている。

2022年の拡張セット「ナスリア城殺人事件」において、「レナサル太子」というカードが実装された。このカードは、デッキに採用することでデッキ構築の枚数制限を30枚から40枚に増やし、また試合開始時に最大体力を30点から40点に増やすというものだ。

「レナサル太子」は実装後、瞬く間にワイルド環境でも支配的な存在となった。猫も杓子もデッキに「レナサル太子」を採用するようになり、体力30点のデッキはビッグプリーストやクエストメイジなどの一部のコンボデッキのみとなった。

 

これが第二世代の亡霊ローグが凋落した大きな要因である。体力40点のデッキ群は、前述の弱点から、第二世代の亡霊ローグにとって非常に不利な相手だった。「レナサル太子」実装以前と比べると、およそ2~4ターンほどコンボ始動が遅れることになり、結果として勝率が著しく低下した。

 

こうした問題を踏まえ、拡張セット「ナスリア城殺人事件」実装から1ヶ月ほど経った後、第三世代の亡霊ローグが誕生した。

第三世代の亡霊ローグが目指すのは、「略奪の亡霊」のプレイ前に10枚以上カードを使用することだ。これによって 10×2+11×2 の 42 点 を相手に叩き込み、相手が「レナサル太子」を採用していたとしても関係なくOTKを成立させるのである。

 

では実際にデッキリストを見ていこう。

 

参考:現在使用しているデッキ

デッキコード:AAEBAaIHBrSGA+XRA+LdA8PhA53wA875Awz1uwLf4wKqywPn3QP+7gOh9AO9gAT2nwT3nwS3swT03QSN7AUA

デッキ構築の概要

役割:コンボ起動・プレイ枚数稼ぎ

「偽造コイン」2枚

「段取り」2枚

「ポスト乗り乗りダンサー」1枚

役割:ドロー

「秘密の通路」2枚

「ペテン」2枚

「隠蔽の帳」2枚

「ブラックウォーター・カトラス」2枚 

役割:コスト軽減

「スキャブス・カッターバター」1枚

役割:手札回収

「影隠れ」2枚

「赤煙のテンウー」1枚

「幻影ポーション」1枚

役割:フィニッシャー

「略奪の亡霊」2枚

「サメの精霊」2枚

合計22枚

 

環境の変化とそれに伴うデッキのプレイ方針の転換により、第二世代の亡霊ローグにおいて必須だったカードの一部はデッキから姿を消している。特にミニオンについては、ミニオンの枚数を絞ることが重要となったため採用枚数が徹底的に削られ、自由枠として追加されることもなくなった。

 

候補カードとしては以下のようになる。

 

役割:コンボ起動・プレイ枚数稼ぎ

「死角からの一刺し」0~2枚

「鋸歯の骨針」0~2枚

役割:ドロー

「影渡りの扉」0~2枚

「釣りバカフィッシン」0~2枚

「SI:7の強要」0~2枚

役割:手札回収

「幻影ポーション」0~1枚

役割:防御

「影纏い」0~2枚

「雲隠れ」0~2枚

 

環境の高速化が進んだこと、必須枠に「秘密の通路」が追加されたこと、ミニオンカードの採用に制限が掛かったことなどによって、選択枠の候補カードは減った。基本的に選択枠のカードについては、防御カードとドローカードの優先度が高く、次いで手札回収カード、どうしても枠が余る場合にコンボ起動・プレイ枚数稼ぎカードを採用する。

デッキ構築についてのまとめ

 

次は必須枠・選択枠ともに一枚ずつ見ていこう。

カードごとの採用理由と解説

必須枠

「偽造コイン」「段取り」

 

「偽造コイン」と「段取り」は、どちらも0マナで、1ターンに使用できるマナを増やすことが出来るカードであり、これは《亡霊ローグ》のデッキ性質と非常に噛み合っている。そのため、これらのカードは必須枠として採用する。

 

「偽造コイン」と「段取り」は、試合中どちらもコンボ起動・プレイ数稼ぎとして使用するカードである。しかしながら、使用タイミングについては大きく異なる。

 

「偽造コイン」はマナを増やすことが出来るカードである。これはつまり、コンボ始動を早めることが出来るという意味する。そのため1~3ターン目に、「ペテン」や「釣りバカフィッシン」を起動するために使用することは少ない。理想的には「スキャブス・カッターバター」のコンボ起動のため、手札に取っておきたいカードである。

 

一方、「段取り」はコンボ始動までの過程で使用することの多いカードだ。

「段取り」の使用法として、一番多いのは「ペテン」のコンボ起動である。このとき、直接的に消費するマナは0であるが、「ペテン」から引いた2枚目の「ペテン」や「釣りバカフィッシン」を即座に使うため、最低でも1マナ、可能であれば2マナ以上残っている状態で使用したい。

コンボ起動のためだけに使用するカードの枚数は、極力減らすことを意識する。

変則的な動きとして、「段取り」で「スキャブス・カッターバター」のコンボ起動を行い、「幻影ポーション」を0マナで使用することもある。

 

どちらのカードにも共通して言えることとして、相手が装甲を積んでいるなどの理由により、OTKのために通常よりも多めの打点が必要であると予想される場合には、これらのカードは使わずにおいておいた方がよい。

 

「ポスト乗り乗りダンサー」

「ポスト乗り乗りダンサー」は、第三世代の亡霊ローグにおけるキーカードだ。「レナサル太子」がナーフされ、体力40点環境が終焉を迎えない限りは、必須枠として採用され続けるだろう。

 

このカードの基本的な役割はプレイ枚数稼ぎである。

このカードはコンボ展開の中で使用する。具体的には、コンボ起動カード+「スキャブス・カッターバター」で始動し、コスト減少効果の1枚目で「サメの精霊」、2枚目でこのカードをプレイする動きが多い。

 

このカードを使う上で注意することは、基本的にコンボ展開以外のタイミングでこのカードをプレイしないことである。2マナ払って手札にコインを1枚抱える動きは非常に弱く、また《亡霊ローグ》や《クエストメイジ》対面では敗北を1ターン早めることにつながる。基本的には、コンボ展開の瞬間まで、このカードは抱えておく方がよい。

 

「秘密の通路」

「秘密の通路」は、第三世代の亡霊ローグにおいて、ドローとデッキ圧縮の役割を兼ねるカードだ。特に早期のデッキ圧縮を考えた場合には、このカードの効果を超えるものは存在しないため、必須枠として採用する。

 

このカードを使用時、デッキから4枚のカードが手札に加わる。それらのカードはターン終了時にはデッキに戻る一時的な手札でしかないが、それらのカードを使用して新たに手札に加えたカードについては、デッキに戻らず手札に残る。

このため「秘密の通路」は実質的なドローカードとして機能する。

またこのカードは最低でも、デッキ圧縮としての機能を期待できる。これは、このカードの効果で手札に加えたカードを使用することが、デッキを1枚圧縮することと同義だからである。この動きは、その後の試合展開におけるドローの期待値を高めることになるため、積極的に狙いたい。例えば「偽造コイン」や「段取り」などは、デッキ圧縮のため基本的にすべて使用してよい。

 

「秘密の通路」は強力なカードであるが、癖が強く、《亡霊ローグ》のデッキ構築全体を歪ませなければならないという難点がある。このカードを採用する場合、選択枠のカードについては、「釣りバカフィッシン」や「ブラックウォーター・カトラス」などの軽いドローカードと交換可カードは積極的に採用できるが、一方で「逃げ足」や「影纏い」などのマナの重いカードの採用には消極的にならざるを得なくなる。

 

このカードを使用する上での注意点は、ターン終了時「秘密の通路」自体の効果で手札に加わったカードを除いた手札の枚数と元の手札の枚数の合計が、手札上限の10枚を超えた場合、超えた枚数分だけ元の手札のカードが消えることである。

この仕様のため、「秘密の通路」を使用する際には、出来るだけ手札に空きを作る必要がある。ターンを重ねるにつれ、手札を溜め込んでいく《亡霊ローグ》の性質を考慮すると、「秘密の通路」の理想的な使用ターンは3~4ターン目となるだろう。

 

「ペテン」「隠蔽の帳」

「ペテン」と「隠蔽の帳」は、低マナでミニオンをサーチできるという点で、他のドローカードと比べても特に強力であり、また現状は代替不可能なカードである。

その上で、ミニオンを引き切ることは、第三世代の亡霊ローグにおいて最重要課題であるため、これらのカードは必須枠として採用する。

 

これらのカードは、基本的には他のドローカードよりも優先的に使用する。ただし、例えば、デッキ内のミニオンの枚数が3枚で、尚且つ手札にミニオンサーチカードが「隠蔽の帳」1枚しかない場合など、使用してもデッキ内のミニオンを引き切ることが出来ず、また残ったミニオンを引き切る算段が付かない場合には、ドローの期待値を高めるため、手札で抱えておいた方がよい。

 

またマナの問題により、これらのカードを使用する余裕がない場合、「スキャブス・カッターバター」と合わせて使用する。このとき使用した「スキャブス・カッターバター」は、手札回収カードで確実に回収する必要がある。

 

「ブラックウォーター・カトラス」

「ブラックウォーター・カトラス」は、実質的にマナを払うことなくドローができるという点で唯一無二のカードであり、必須枠で採用する。

このカードは基本的には交換以外では使用しないが、まれに序盤の盤面の処理やコンボ起動、相手の体力調整に使用することもある。

 

また交換可カード全般に共通することであるが「秘密の通路」とのシナジーは強力である。「秘密の通路」の効果で手札に加えたこのカードを交換した場合、0~1マナで手札を1枚増やすことができる。これは《亡霊ローグ》というデッキにおいて、特に効率よくドローできる動きのため積極的に狙いたい。

 

注意点として、交換可カードは「秘密の通路」のターン終了時デッキに戻る効果を記憶する。この性質により、「秘密の通路」の効果で手札に加わった交換可カードを、交換でデッキに戻した場合、そのターン中に戻した交換可カードを再度引くと、ドローが一枚潰れることになる。そのため「秘密の通路」によって手札に加えたカードは、まずドローカードから使用し、最後に交換可カードを交換した方がよいだろう。

 

「スキャブス・カッターバター」

「スキャブス・カッターバター」は、コンボ展開の起点となるカードであり、この役割を代替しうるカードは現状他に存在しない。当然、必須枠として採用する。

 

基本的にはコンボ展開の初動として使用するが、変則的に、手札回収カードと合わせて、マナ効率良くドローを進めるために使用することもある。

「影隠れ」

「影隠れ」は《亡霊ローグ》における最強のカードの一つであり、このカードを抜く合理的な理由はない。当然、必須枠のカードである。

 

このカードの主な使い先は「ポスト乗り乗りダンサー」と「赤煙のテンウー」だ。

例外的に、相手の「ドブネズミ」などで、手札・デッキからミニオンが盤面に出された場合には、そのミニオンを回収するためにも使用することがある。

 

0マナからマナを踏み倒す場合とプレイ枚数稼ぎを目的とする場合、「ポスト乗り乗りダンサー」に「影隠れ」を使用する。「サメの精霊」が場に出ていると想定すると、「影隠れ」1枚で2マナと4枚までプレイ枚数を稼げることになる。

 

「略奪の亡霊」を活用したい場合、「赤煙のテンウー」に「影隠れ」を使用する。

「サメの精霊」が場に出ていると想定すると、「赤煙のテンウー」を用いて、場の「スキャブス・カッターバター」を手札に戻す場合、さらに1マナ払うことで、6マナを2回踏み倒すことが出来る。これは通常「略奪の亡霊」2枚または「略奪の亡霊」+「幻影ポーション」といった動きにつながる。

 

「赤煙のテンウー」を用いて、場の「略奪の亡霊」を手札に戻す場合、想定されるケースとしては、

・プレイできる「略奪の亡霊」が1枚しかない

「狂乱公爵シオタ―」や「ドブネズミ」の効果で2枚目の「略奪の亡霊」が失われた。あるいは単純にドロー不足により引くことが出来ていない。

・盤面枠の都合で2枚目の「略奪の亡霊」が出せない

盤面枠が既に6枠埋まっており、場に「スキャブス・カッターバター」と「略奪の亡霊」と「サメの精霊」が、手札に「略奪の亡霊」と「影隠れ」で戻した「赤煙のテンウー」が存在する場合、場の「スキャブス・カッターバター」を戻して手札の「略奪の亡霊」をプレイしようとすると、実際には「赤煙のテンウー」で盤面の7枠目が埋まるため手札の「略奪の亡霊」が出せない。

・プレイ枚数の4倍スケールでは打点が足らない

第二世代以降の亡霊ローグは、「サメの精霊」の2倍効果と「略奪の亡霊」2枚使用によって、およそプレイ枚数の4倍のダメージを与えることが出来る。これは通常十分な打点であるが、ドルイドやウォリアー対面においては稀に不足する。

などがある。

 

こういったケースにおいては「赤煙のテンウー」を用いて、「略奪の亡霊」を手札に戻すことがあり、これによって必要な打点を確保する。

「幻影ポーション

第三世代の亡霊ローグでは手札回収カードの重要度が高く、一枚でも多くの手札回収カードを採用したいという思いがある。しかしながら《亡霊ローグ》における手札回収カードの要件は、基本的には、場に「サメの精霊」を残したうえで、新たに盤面枠を埋めることもなく、場のミニオンを手札に回収できることであり、これを満たすカードは非常に少ない。

 

「幻影ポーション」は、この要件を満たす数少ないカードの1枚だ。そのため消去法的に、1枚は必須枠として採用する。

 

このカードは、主にコンボ展開において、2枚目の「略奪の亡霊」を引けていない場合、あるいはプレイ枚数が足りない場合などに、「スキャブス・カッターバター」や「略奪の亡霊」を回収するため使用されることが多い。

 

まれに、装甲量の多い相手や《クエストメイジ》対面などで、コンボパーツをすべて回収し、2回目のコンボ展開を準備する目的で使用することもある。

「略奪の亡霊」

「略奪の亡霊」は、コンボ展開におけるフィニッシャーとして使用される。《亡霊ローグ》の核となるカードであるため、必須枠として採用する。

このカードはコンボ展開以外では全く役割がない。また手札回収カードを絡めれば、「略奪の亡霊」1枚でもコンボは成立する。

しかしながら、「略奪の亡霊」の採用枚数を1枚にした場合、コンボ始動に必要な手札の要求値が高まるため、2枚採用が推奨される。

また副次的に、「略奪の亡霊」を2枚採用することにより、「狂乱公爵シオタ―」や「ドブネズミ」に対する耐性向上が期待できる。

「サメの精霊」

「サメの精霊」は、コンボ展開におけるフィニッシャーとして使用される。《亡霊ローグ》の核となるカードであるため、必須枠として採用する。

このカードをコンボ展開以外でプレイすることはない。これは第三世代の亡霊ローグにおいて、一般的に「サメの精霊」は1枚しか採用されておらず、万が一「サメの精霊」が失われた場合、その時点で敗北が確定するためである。

選択枠

「死角からの一刺し」「鋸歯の骨針」

「死角からの一刺し」と「鋸歯の骨針」は、コンボ起動・プレイ枚数稼ぎカードとして採用することのあるカードだ。

ここで、これらのカードを除去として採用するわけではないことに注意してほしい。

《亡霊ローグ》はアグロデッキを不利とするが、この相性差は数枚の除去を採用した程度では改善しないためだ。あくまでも、コンボ起動・プレイ枚数稼ぎとして採用を検討する。

 

「死角からの一刺し」と「鋸歯の骨針」は、役割としては共通するが、本来的なマナと打点、付随する効果が異なる。

 

基本的に、使いやすさでは「死角からの一刺し」のほうが優れている。相手が体力3以下のミニオンを場に出していない場合、「鋸歯の骨針」は機能しないためだ。

しかしながら「鋸歯の骨針」も、「艦載砲」や「遠方の番所」を1枚で処理できる点や「段取り」のマナ軽減効果を拡張できる点については評価できる。

 

コンボ起動・プレイ枚数稼ぎカードを選択枠から追加で採用したい場合、こうした一長一短の性質を考慮し、個々人の好みに合わせて好きな方を採用すればよいだろう。

 

個人的には、これらのカードの評価は低い。

これは自らが《亡霊ローグ》を用いるとき、相手はドローを優先してミニオンを出さないことが多く、そうした場合にこれらのカードは役割を果たせないためである。

 

「影渡りの扉」

「影渡りの扉」は、手札こそ増えないものの、1マナでドローを行い、それによってデッキを圧縮することができるため、それなりに強力なカードである。

 

また《亡霊ローグ》では、「ペテン」や「釣りバカフィッシン」などのコンボ起動札が十分確保できないことが多く、不本意ながら「偽造コイン」などを使用してドローを回すことがある。

「影渡りの扉」は1マナと軽く、無理なくコンボ起動に使用できるため、コンボ起動としての役割も期待できる。

 

総じて《亡霊ローグ》というデッキの潤滑剤になるカードであり、個人的には、選択枠の中でも、特に優先して採用したいカードの1枚。

 

「釣りバカフィッシン」

「釣りバカフィッシン」は、コンボで使用した時、デッキの底3枚を確認し、そのうち1枚を手札に加えるという、特定のカードを手札に加えるという目的では、非常に強力な効果をしている。これは試合中、手札にコンボパーツを揃えていく《亡霊ローグ》のデッキ性質と相性がよく、なるべく採用したいカードである。

 

ただし、《亡霊ローグ》ではコンボ起動が難しいという部分があり、またコンボ起動のためにカードを使用する場合は「ペテン」や「スキャブス・カッターバター」が優先されるため、使用感はそれほどよくない。このカードを採用する場合には、併せてコンボ起動用のカードも採用したいところだ。

 

「SI:7の強要」

「SI:7の強要」は、交換によるドロー目的で採用される。基本的には交換以外の用途で使用することはなく、交換によってドローの期待値を高める役割を持つ。

 

現状、交換可という効果の強力さと「秘密の通路」とのシナジーにより、準必須枠として採用されることが多い。ただし、このカードを採用した場合、必須枠として採用されている「ブラックウォーター・カトラス」と合わせて、中盤以降交換から交換可カードを引きやすくなる点はマイナス評価であり、今後低マナのドローカードが増えた場合には抜ける可能性が高い。

 

また「SI:7の強要」は、《亡霊ローグ》において数少ない、1枚で「艦載砲」や「遠方の番所」などの低マナシステムミニオンを処理できるカードである。ワイルド環境において、システムミニオンをプレイされた直後に処理できるかは試合の勝敗に直結するため、それらにある程度対応することができるという点は「SI:7の強要」の強みである。

 

「幻影ポーション

「幻影ポーション」は盤面上のミニオンを手札に回収するためのカードである。基本的にはコンボ始動の準備とコンボ展開に用いるが、まれに2回目のコンボ始動のためのリソース回復札としても使用する。

 

マナが重く、また使用する場面も限られるため、基本的には必須枠の1枚採用だけでも十分であるが、手札回収札を重視する場合は選択枠として2枚目を採用してもよい。

 

「影纏い」「雲隠れ」

 

「影纏い」と「雲隠れ」は、どちらもコンボ始動まで時間を稼ぐためのカードである。それぞれ1~2枚程度採用されることが多い。

 

それぞれをどれだけの枚数採用するのかについては、個々人の好みによる。

基本的に1ターンを稼ぐという意味での防御性能は、「影纏い」の方が高く、一方で秘策として事前に使用できる点やマナの軽さから、「雲隠れ」の方が使いやすい。

確実性をとるか使いやすさをとるかを判断したうえで、好きな方を採用すればよいだろう。

 

個人的には、「秘密の通路」を必須枠として採用することを考えると、重いマナのカードの採用は避けたいため、「雲隠れ」を優先的に採用する。

試合の流れ

マリガン

《亡霊ローグ》のマリガンは、通常マッチアップに応じて変わらない。マッチアップに依存する、一部の例外的なマリガンについては、後述するマッチアップ相性の項を参照してほしい。

 

マリガンでは、ミニオンサーチと序盤のドローカードを探しに行く。具体的には、ミニオンをサーチできる「ペテン」と「隠蔽の帳」、1ターン目の動きとなる「ブラックウォーター・カトラス」と「影渡りの扉」、序盤に使いたい「秘密の通路」をキープする。

「ペテン」とのセットキープで「段取り」。手札に十分ドローカードがキープできている場合は、ほとんどすべてのコンボ展開で使用する「影隠れ」もキープする。

 

基本的に、これら以外のカードをマリガンで残す必要はなく、「略奪の亡霊」含むコンボに必要なカードは試合中に引きに行くものだと考えてほしい。

プレイ方針

試合中の流れとしては、マナを効率的に使い、ドローを進めていく。これはコンボに必要なカードを手札に揃えるためである。理想的には4~5ターン目まで、防御カードによる1~2ターンの時間稼ぎを勘定に入れた場合でも6ターン目までには、手札にコンボパーツを揃えることを目指す。

 

早期にコンボパーツを揃えようとする場合、デッキを圧縮し、交換によるドローやターン開始時のドローでミニオンを引く確率を高めることは非常に重要である。そのため、「秘密の通路」は積極的に使用し、デッキの圧縮に努めたい。

 

試合中、特に意識することは、デッキに残ったミニオンの枚数である。

デッキに残ったミニオンの枚数に対して、手札に十分なだけのミニオンサーチカードがある場合には、順番にそれらを使用していくだけでよい。ミニオンを引き切ることさえできれば、コンボを始動できるからだ。

問題となるのは、デッキに残ったミニオンの枚数に対して、手札に十分なだけのミニオンサーチカードがない場合である。この場合、ミニオンに拘らず、ミニオンサーチカードと防御カードを引きにいく。理想的には、低マナのドローカードを複数枚使用することで、ミニオンサーチカードと防御カードを集めつつ、デッキ圧縮を図りたい。

最終的には、防御カードとミニオンサーチカードを同時にプレイするターンを設け、次のターンのコンボ始動を狙っていく。

 

このようにして、必要なコンボパーツを揃えた後は、ミスなくコンボを展開し、リーサルを決める。

基本的なコンボ展開

第三世代の亡霊ローグにおいて、基本形となるコンボ展開は次のような形だ。

  1. 任意の0マナカードをプレイする。
  2. 「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを3ずつ下げる。
  3. 1マナになった「サメの精霊」をプレイする。
  4. 0マナになった「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  5. 「影隠れ」を「ポスト乗り乗りダンサー」に使用し、手札に0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」を回収する。
  6. 0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  7. コインを4枚プレイする。
  8. 「赤煙のテンウー」をプレイし、手札に1マナの「スキャブス・カッターバター」を回収する。
  9. 1マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを6ずつ下げる。
  10. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、12×2 の 24 点を相手に与える。
  11.  0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、13×2 の 26 点を相手に与える。

この例では、5マナで12×2+13×2 の 50点を相手に与えることが出来る。

実際の試合では、これを基本とし、手札の状況に応じて一部を組み替えたうえでコンボを展開する。

 

例えば手札に「影隠れ」がない場合のコンボ展開の一例は以下のようになる。

  1. 任意の0マナカードをプレイする。
  2. 「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを3ずつ下げる。
  3. 0マナになった「赤煙のテンウー」をプレイし、手札に1マナの「スキャブス・カッターバター」を回収する。
  4. 1マナになった「サメの精霊」をプレイする。
  5. 「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを6ずつ下げる。
  6. 0マナになった「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  7. 0マナになった「幻影ポーション」を使用し、1マナの「赤煙のテンウー」、「サメの精霊」、「スキャブス・カッターバター」、「ポスト乗り乗りダンサー」を手札に加える。
  8. コインを2枚プレイする。
  9. 1マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを6ずつ下げる。
  10. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、10×2 の 20 点を相手に与える。
  11.  0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、11×2 の 22 点を相手に与える。

この例では、6マナで10×2+11×2 の 42点を相手に与えることが出来る。

また手札に「略奪の亡霊」が2枚ない場合には、手札回収カードで代用してコンボ展開を行う。この場合のコンボ展開の一例は以下のようになる。

  1. 任意の0マナカードをプレイする。
  2. 「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを3ずつ下げる。
  3. 1マナになった「サメの精霊」をプレイする。
  4. 0マナになった「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  5. 「影隠れ」を「ポスト乗り乗りダンサー」に使用し、手札に0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」を回収する。
  6. 0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  7. コインを4枚プレイする。
  8. 「赤煙のテンウー」をプレイし、手札に1マナの「スキャブス・カッターバター」を回収する。
  9. 1マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイし、次に使用するカード2枚のコストを6ずつ下げる。
  10. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、12×2 の 24 点を相手に与える。
  11. 0マナになった「幻影ポーション」をプレイし、1マナの「サメの精霊」、「ポスト乗り乗りダンサー」、「赤煙のテンウー」、「スキャブス・カッターバター」、「略奪の亡霊」を手札に加える。
  12.  1マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、14×2 の 28 点を相手に与える。

この例では、5マナで12×2+14×2 の 52点を相手に与えることが出来る。

これらの派生的なコンボ展開は実際の試合でも行うことが多いため、《亡霊ローグ》を使う上で覚えておいて損はないだろう。

応用的なコンボ展開

アグロ対面やクエストメイジ対面など、可能な限り早くコンボを始動することが求められるマッチアップでは、コンボ始動に必要なマナを如何にして減らすかが重要となる。

また「狂乱公爵シオタ―」などの妨害カードによって、重要なコンボパーツが失われた場合には、普段とは異なるコンボ展開を行う必要に迫られることもある。

ここでは、このような場合に行う変則的なコンボ展開について、いくつか例を示す。

 

・事前に「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、「影隠れ」で回収しておく。

この動きは、主にコンボの始動ターンを早める目的で行う。

 

この動きをする場合、その後のコンボ展開の一例としては以下のようになる。

  1. コインから入り、「スキャブス・カッターバター」をプレイして、次に使用するカード2枚のコストを3ずつ下げる。
  2. 0マナになった「赤煙のテンウー」をプレイし、手札に1マナの「スキャブス・カッターバター」を回収する。
  3. 1マナになった「サメの精霊」をプレイ。
  4. 0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  5. 2枚のコインを使用する。
  6. 1マナの「スキャブス・カッターバター」をプレイして、次に使用するカード2枚のコストを6ずつ下げる。
  7. 0マナになった「略奪の亡霊」をプレイし、8×2 の 16 点を相手に与える。
  8.  0マナになった「幻影ポーション」を使用し、1マナの「赤煙のテンウー」、「サメの精霊」、「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「略奪の亡霊」を手札に加える。
  9. 1マナの「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  10. 1マナの「略奪の亡霊」をプレイし、13×2 の 26 点を相手に与える。

この例では、4マナで8×2+13×2 の 42点を相手に与えることが出来る。

「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、「影隠れ」で回収する動きは、「秘密の通路」を採用する都合上、少なくない頻度で発生する。またそうでなくとも、コンボに必要なマナや手札の要求値を減らすという点で、この動きは有用なテクニックである。

ただ試合展開によっては、「赤煙のテンウー」に「影隠れ」を使用した方がよい場合もあるため、その試合における「影隠れ」の使いどころを見極めて行う必要がある。

 

・「影隠れ」を使用し、「ポスト乗り乗りダンサー」を可能な限りプレイする。

この動きは、相手の妨害カードによって「スキャブス・カッターバター」が失われた場合に、やむなく行うことが多い。

「スキャブス・カッターバター」なしでは「略奪の亡霊」を踏み倒すことが出来ない。そこで複数回「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイするなどして、「略奪の亡霊」をプレイするために必要なマナを捻出し、強引にコンボ展開を行う。

 

このような形でのコンボ展開を目指す場合、「影隠れ」や「偽造コイン」などのマナを生み出すカードは、コンボ展開のターンまで使用するべきではない。

 

コンボ展開の一例としては以下のようになる。

  1. 1マナで「サメの精霊」をプレイ。
  2. 「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  3. 「影隠れ」を「ポスト乗り乗りダンサー」に使用し、手札に0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」を回収する。
  4. 0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  5. 「影隠れ」を「ポスト乗り乗りダンサー」に使用し、手札に0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」を回収する。
  6. 0マナの「ポスト乗り乗りダンサー」をプレイし、手札にコインを2枚加える。
  7. 6枚のコインを使用する。
  8. 「略奪の亡霊」をプレイし、12 × 2 の 24 点を相手に与える。
  9. 「赤煙のテンウー」をプレイし、手札に1マナの「略奪の亡霊」を回収する。
  10. 1マナの「略奪の亡霊」をプレイし、14×2 の 28 点を相手に与える。

この例では、9マナで12×2+14×2 の 52点を相手に与えることが出来る。

実際的には、「スキャブス・カッターバター」が失われた時点で、致命的なコンボ始動の遅れが生じ、そのまま負けることが多い。ただこういった形でのコンボ展開を行うことで、挽回できる可能性があることは頭に入れておきたい。

第三世代亡霊ローグの弱点

第三世代の亡霊ローグは、コンボの早期始動と打点増強のため、デッキに採用するミニオンの枚数を絞るとともに、「ポスト乗り乗りダンサー」とその雄叫び効果で生成されるコインを、コンボ展開の軸としている。

 

これは40点デッキ全般に対するマッチアップ相性を改善させるための取り組みだが、一方で新たにいくつもの弱点を抱えることになった。

 

まず大きいのは、ミニオン打消しやハンデスへの耐性の低下である。第二世代の亡霊ローグは、ミニオンの採用に関してゆとりがあった。そのためミニオン打消しに対してミニオンを捨てる余裕があり、またハンデスに対しても、大抵は手札回収カードを用いて対抗することが出来た。

一方で、第三世代の亡霊ローグでは、ミニオンの採用を限りなく切り詰めている。デッキには、コンボに最低限必要な種類と枚数のミニオンしか採用されておらず、そのコンボ展開も手札回収カードの存在を前提としたものになった。

第三世代の亡霊ローグは、このデッキとしてのゆとりのなさから、相手からの妨害に対して非常に敏感なデッキとなっている。ミニオン打消しやハンデスを1枚使用されるだけで、コンボ展開においておよそ致命的な被害を受け、そこから挽回することも基本的には叶わない。

 

またコンボ展開にコインを使用するようになった点も、大きな弱体化である。というのも、もともと第二世代の亡霊ローグは、ワイルド環境のコンボデッキとしては珍しく、「ロウゼブ」への耐性を持っていた。第二世代の亡霊ローグのコンボ展開は、その軸がミニオンだけで完結しており、「ロウゼブ」の返しにOTKを決めることも容易だったのだ。これはワイルド環境に存在する数多くのコンボデッキの中から、敢えて《亡霊ローグ》を選択するだけの理由だった。

第三世代の亡霊ローグには、そういった意味での他コンボデッキに対する優位性が失われている。凡百のコンボデッキと同様、「ロウゼブ」1枚で機能不全に陥り、それどころか「教団の新入会員」程度の呪文コスト増加でもコンボ始動を止められる始末だ。

 

第三世代の亡霊ローグは、デッキとしての頑健性を代償とすることで40点環境に適応しており、かつての対策が難しいコンボデッキとしての面影は残っていない。概して、個々の試合における対策の有無が、勝敗にそのまま直結するデッキだといえるだろう。

亡霊ローグに対するメタカード

ここでは《亡霊ローグ》に対するメタカードとして機能するカードについて、実際に環境で見かけるカードを、その脅威度別に解説する。

直接の敗因になるカード

「剣匠オオカニ異議あり!」

「剣匠オオカニ」は、主に《40枚呪い自傷ウォーロック》や《40枚シャダウォックシャーマン》で採用される。このカードの役割は、相手のミニオンまたは呪文に対する打消しを用意することで、相手の動きを縛るとともに、相手のリソースを削ることである。

第三世代の亡霊ローグはミニオンの枚数を絞っており、試合中余分になるミニオンがいない。そのため「剣匠オオカニ」をミニオン打消しで召喚された場合、非常に展開が苦しくなる。《亡霊ローグ》側としては、1回までは「赤煙のテンウー」か「略奪の亡霊」を捨てることで辛うじて対応可能であるが、何らかの手段で再度「剣匠オオカニ」の雄叫びを使用された場合、コンシードするほかない。

異議あり!」は、主に「秘策メイジ」に採用される。このカードの役割は、前述の「剣匠オオカニ」と同じであるが、構築時点で2枚採用できるという点で異なる。《亡霊ローグ》側としては、他秘策も考慮しなければならず、また大抵2枚目も控えているため、一度「異議あり!」が発動した時点でそのままコンシードしてもよいほど苦しいカードである。

 

「狂乱公爵シオタ―」

「狂乱公爵シオタ―」は、主に《40枚影レノプリースト》などのコントロールデッキで採用される。このカードの役割は、相手の手札の確認と実質的なハンデスであり、それによって相手のコンボを破綻させることができる。

このカードは相手の手札を3枚確認し、その中から奪うカードを1枚選べるという点で、ハースストーンに存在する同系統のカードに比べて、より安定した効果を持っており、

またこの効果は盤面を介さないため、《亡霊ローグ》が持つ手札回収カードも機能しない。

第三世代の亡霊ローグでは、特に「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「サメの精霊」などを奪うことが出来れば、そのまま勝利できる。

6コストにナーフされたことで、《亡霊ローグ》の後攻5ターン目OTKを妨害することこそ叶わなくなったものの、別カードで延命し、「狂乱公爵シオタ―」で詰ませる動きは依然健在であり、《亡霊ローグ》側は警戒が必要である。

とはいっても《亡霊ローグ》側にできることは、手札を可能な限り多く保つくらいなもので、いざとなれば神に祈るほかない。

 

「貪り喰らうものミュターヌス」

「貪り喰らうものミュターヌス」は、主に《40枚シャダウォックシャーマン》や《40枚呪い自傷ウォーロック》に採用される。このカードの役割は相手へのハンデスであり、それによって相手のリソースを削り、副次的にコンボを破綻させる。

このカードは7マナと重く、単体では《亡霊ローグ》のコンボ始動に間に合わない。しかしながら《40枚シャダウォックシャーマン》では「スカーギル」、《40枚呪い自傷ウォーロック》では「シーデビル・スティンガー」とのシナジーによって、4ターン目以降使用される可能性がある。

これは明確に、対面側の上振れムーブであり《亡霊ローグ》側に対抗策はない。

「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「サメの精霊」が捕食されないことを祈るのみである。

また《40枚シャダウォックシャーマン》については、「クマノミ」+「ボルナー・ハンマービーク」や「スバラシインコ」によって、複数回「貪り喰らうものミュターヌス」の雄叫びを使用することができる。返しのターンにコンボ始動できる手札でなければ、コンシードしてもよいだろう。

 

「アイスブロック」

「アイスブロック」は、主に《クエストメイジ》で採用される。

このカードの役割は、相手からのリーサルを防ぎ、確実に自分のターンが来るようにするというものだ。

基本的に一度しかコンボ展開が行えない《亡霊ローグ》にとって、このカードは天敵である。《亡霊ローグ》にはコンボ展開以外で「アイスブロック」を剥がす術がなく、そのため「アイスブロック」が張られた時点で、《亡霊ローグ》側は3つの戦略のうちどれかを選択するほかなくなる。

 

1つ目の戦略は、「幻影ポーション」を絡めた2回のコンボ展開である。この戦略はコンボ始動のための手札の要求値が上がるという点、また《クエストメイジ》側の「ヴァ―デン・ドーングラスプ」によって盤面がロックされ詰むという点で問題がある。

2つ目の戦略は、プレイ枚数を適切に調整したコンボ展開である。具体的には「サメの精霊」によって2回発動する「略奪の亡霊」のコンボ効果のうち、1回目の発動時点で相手の体力が1点になるようプレイ枚数を調整する。この戦略は、《クエストメイジ》側にヒーローを凍結する術がない以上、実現できれば一番勝算が高い。しかしながら、実際にこれを行うためには、非常に高度なプレイングスキルが要求される。基本的には他の戦略を採用した方がよい。

3つ目の戦略は、現実的な形での2つ目の戦略の実践だ。なるべく早期にコンボを始動し、コンボ展開の中では、なるべく相手の体力を減らした上で「アイスブロック」を剥がすことを目指す。相手が何も対応札を持っていない場合には、コンボ展開中に場に出たミニオンで残り体力を詰め切る。1つ目の戦略と同様、《クエストメイジ》側の「ヴァ―デン・ドーングラスプ」によって盤面がロックされた場合は詰むが、それなりに勝算はあるだろう。

 

注意事項として、前述の「アイスブロック」に対抗するための戦術は、少しでも勝率を高めるためのものだということを念頭に置いてほしい。詳しくは後述するが、対《クエストメイジ》のマッチアップは圧倒的に《亡霊ローグ》側が不利であり、十中八九勝てない。その前提を受け入れたうえで、細い勝ち筋を拾いに行く場合のみ前述のような戦術を採用するのであって、例えばレジェンドを目指して《亡霊ローグ》をプレイするという場合には、1ターン目にクエストが張られた時点でコンシードした方が効率的だろう。

 

「ネルバー・ウェブロード」

「ネルバー・ウェブロード」は、主に「動員パラディン」や「テンポウォリアー」に採用される。このカードの役割は、雄叫びカードのコストを上げることによって、相手の動きを縛ることである。

第三世代の亡霊ローグにおいて採用されている雄叫びカードは、「ポスト乗り乗りダンサー」と「赤煙のテンウー」の2枚しかないが、これらのカードはプレイ枚数を稼ぐために欠かせないカードであるため、影響は大きい。

また「ネルバー・ウェブロード」の体力は4であり、「SI:7の強要」1枚で処理できない点も非常に苦しい。2ターン目に単体でプレイされる場合には処理できる可能性があるが、「動員」によって挑発に守られた状態でプレイされた場合、成す術がない。

一応、十分マナがあるのであれば、「ネルバー・ウェブロード」の効果下においても、OTKを成立させることは可能であるが、通常の試合展開では2体目の「ネルバー・ウェブロード」がプレイされたり、「光輝の贈り物」によってコピーが召喚されるため、1体目の「ネルバー・ウェブロード」に対処できなければ、その時点でコンシードしてもよい。

 

「ロウゼブ」

「ロウゼブ」は、ワイルド環境において、コンボデッキ以外のありとあらゆるデッキに採用されている可能性がある。

このカードの役割は、呪文のコストを上げることによって相手の動きを縛ることであり、その上昇幅の大きさから、一定以上呪文に依存するコンボデッキは、1ターンの間完全に機能停止する。

《亡霊ローグ》側としては、単純に1ターンコンボ始動が遅れるというだけでなく、「影纏い」や「雲隠れ」の使用を封じられるため、「ロウゼブ」がプレイされた瞬間、試合が終了することもありうる。

対策としては「雲隠れ」を事前に使用しておくことが考えられるが、ビートダウン系のデッキであれば、「ロウゼブ」をプレイするターン、同時に「雲隠れ」を剥がすことは容易であるため、ほとんど対策として機能しない。

試合展開に影響を与えるカード

爆発のルーン

「爆発のルーン」は、主に「秘策メイジ」に採用される。このカードの役割は、相手の展開を阻害することと相手の体力を削ることだ。第三世代の亡霊ローグでは、コンボ始動ターンにおいて、「スキャブス・カッターバター」や「ポスト乗り乗りダンサー」などのミニオンを複数回使い回す動きが頻出するため、これらのミニオンが破壊されないようケアする必要がある。現実的には他秘策のケアも考えると、《亡霊ローグ》のコンボを成立させることは不可能に近いため、ダメで元々と割り切ったプレイをした方が上手くいくかもしれない。

 

影纏い」、「雲隠れ」、「固いアリバイ

「影纏い」と「雲隠れ」は、主に《亡霊ローグ》に採用される。これらのカードの役割としては、相手から1ターン身を守るというものであり、攻め手側からすれば1ターンコンボ始動が遅らせられることになる。

基本的に攻め手側の《亡霊ローグ》は、これらのカードへの根本的な対策を持たないが、こちらも「影纏い」や「雲隠れ」を使用することで、相手ターンを生き延び、再び自らの攻め手番に戻すことが出来る点は覚えておくとよいだろう。

「固いアリバイ」は、主に《クエストメイジ》に採用される。その役割は前述の2枚と同じであるが、後述する《クエストメイジ》の性質により、「影纏い」、「雲隠れ」ともに機能しないため、その威力は高い。およそ見かけることはないが、《レノメイジ》などから使用された場合、そのターンは準備に徹し、次のターンのOTKを目指す。

 

「遠方の番所

「遠方の番所」は主に《動員パラディン》に採用される。このカードの役割は、相手のカードのコストを上げることによって相手の動きを遅らせることである。このカードは盤面に存在し続けることによって、その威力を累積的に増加させるが、これは《亡霊ローグ》にとって致命的となる場合がある。

幸いにして、このミニオンの体力は3であり「SI:7の強要」一枚で処理することが出来る。対面がパラディンである場合には、マリガンで「SI:7の強要」をキープしてもよいだろう。

 

「ドブネズミ」

「ドブネズミ」は主に《40枚影レノプリースト》や《40枚呪い自傷ウォーロック》、《40枚シャダウォックシャーマン》などに採用される。

このカードの役割は、相手のコンボカードを手札から落とすことによる実質的なハンデスであり、それによって相手のコンボを破綻させることができる。

第三世代の亡霊ローグはミニオンを絞っているため、重要なカードを落とすことが容易になっており、特に「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「サメの精霊」などを落とすことが出来れば、そのまま勝利できる可能性がある。

注意点として、《亡霊ローグ》は盤面のミニオンを手札に回収することが可能であるため、手札から落としたミニオンを処理できる状況で「ドブネズミ」を使用することが推奨される。また「サメの精霊」は隠れ身を持っているため、仮に「サメの精霊」が「ドブネズミ」で落ちた場合、一般的な除去カードでは処理できないことも念頭に置く必要がある。

 

「教団の新入会員」「指紋鑑識官」「凍傷」

「教団の新入会員」と「指紋鑑識官」は、主に《40枚シャダウォックシャーマン》や《40枚呪い自傷ウォーロック》などに採用される。これらのカードの役割は、通常の試合展開では《亡霊ローグ》のコンボ始動を1ターン遅らせることであり、特に本来的な《亡霊ローグ》のコンボ始動ターンである5~6ターン目に、これらのカードをプレイする動きは強力である。《亡霊ローグ》側としては、これらのカードの採用率が十分高くない点、また影響が手札に依存する点などから、特に対策はできない。

「凍傷」は、主に《偶数シャーマン》に採用される。その役割については、前述の2枚のカードと同じであるが、効果の適用期間が1ターンではなく、次に使用する呪文であるという点で異なる。《亡霊ローグ》側としては、この違いにより「スキャブス・カッターバター」やコインによって、その影響を軽減することができ、手札によっては「凍傷」を使用された返しのターンにOTKを決めることも可能である。。一方で、自発的に呪文を使用しない限り、呪文のコストを上げる効果は消滅しないため、タイミングを見計らって呪文を使用する必要がある。

試合に影響しないカード

「レナサル太子」

「レナサル太子」は第二世代の亡霊ローグを消滅させたように、存在自体が《亡霊ローグ》へのメタとして機能する。

また第三世代の亡霊ローグについても、体力40点環境に適応するために新しい弱点が複数生じているという点を鑑みると、《亡霊ローグ》というデッキの強さを削ぐという意味では十分機能している。

そのため、このカードは個別の試合においてほとんどアドバンテージを齎さないが、環境全体で見たときには《亡霊ローグ》に対する最大のメタカードだと言えるだろう。

《亡霊ローグ》に対するメタカードのまとめ

マッチアップ相性

ここでは《亡霊ローグ》の、ワイルド環境におけるマッチアップごとの相性と基本的なプレイ方針について、ヒーロー別に解説する。

デーモンハンター

ワイルド環境において、デーモンハンターのデッキは存在しない。環境に全く影響しないヒーローである。基本的に「十面相のマエストラ」によるローグの変装だと思ってよいだろう。

メイジ

《クエストメイジ》不利

このマッチアップは、《クエストメイジ》側の「アイスブロック」一枚で詰まされるマッチアップである。早期のコンボ始動によって相手に動く暇を与えないことが望ましいが、現実的には難しい。1ターン目にクエストを張られた時点でコンシードしてもよい。

 

《秘策メイジ》不利

このマッチアップでは、《秘策メイジ》の「異議あり!」、「爆発のルーン」、「アイスブロック」に苦しめられることになる。またこれらの秘策以外に「呪文相殺」のケアも必要であるため、2枚以上秘策を張られている場合には、ほとんど身動きが取れなくなる。

対策として、《秘策メイジ》は基本的なドローの弱いデッキであるため、「フェアのイカサマゲーム」を発動させないよう立ち回ることで、そもそもこれらの秘策を貼ることが出来ない状況を作ることが重要である。試合展開にもよるが、ヒーローパワーで装備した武器を大事に使っていく。

また《秘策メイジ》は、他に2~4種類の秘策を採用していることが多い。それらの秘策は《亡霊ローグ》にとってほとんど無視できるものであるため、秘策ケアを捨てて、割り切ったプレイに切り替えることも選択肢として考慮したい。

ハンター

《ビーストハンター》有利

このマッチアップは、《ビーストハンター》側の盤面展開能力の低さから、基本的にはコンボ始動が十分間に合う。また《ビーストハンター》はビートダウン系デッキのため、「影纏い」や「雲隠れ」による遅延も有効的だ。

注意点として「銛撃ち銃」が絡む盤面展開をされた場合のみ、コンボ始動が間に合わないことがある。この時は「照明弾」を警戒し、防御カードとして「影纏い」を優先的に使用する。

ウォーロック

《40枚呪い自傷ウォーロック》微有利

対面の構築に依存する部分が大きいが、基本的に「剣匠オオカニ」と「ドブネズミ」は採用されているものとして考えてよい。《亡霊ローグ》側としては、これらのカードを相手に引かれた分だけ不利になるため、可能な限り早いコンボ始動が望ましい。この点については《40枚呪い自傷ウォーロック》が、自発的に体力を減らすデッキであることから比較的達成が容易である。

また呪い系カードの存在は十分意識する必要があり、コンボパーツが揃うまでは手札枚数を7~8枚に留めること、「影纏い」を過信しないことが重要である。

《メックトゥーンウォーロック》有利

このマッチアップは、《メックトゥーンウォーロック》では妨害カードを一切採用していない点、またデッキ性質上「レナサル太子」を採用できず体力が30点である点などから、「亡霊ローグ」側が非常に有利である。

相手の上振れムーブとして「文書改竄」+「マルシェザールのインプ」+「ルーン刻印ミスリル・ロッド」のコンボを早期に行われた場合のみ、負ける可能性がある。

ウォリアー

《テンポウォリアー》有利または五分

このマッチアップは、《テンポウォリアー》側が「ネルバー・ウェブロード」を採用しているかによって、勝率が大きく変動する。《テンポウォリアー》は、恐らくドローカードの不足から「レナサル太子」を採用しておらず、そのため体力が30点しかない。また「影纏い」と「雲隠れ」に対する対策を殆ど持ち合わせず、これらのカードを使用すれば、およそ確実に1ターン稼ぐことが出来る。

こうした理由から基本的に《亡霊ローグ》側が有利なのだが、「ネルバー・ウェブロード」が採用されている場合、少し話が変わってくる。

というのも「ネルバー・ウェブロード」によって、《亡霊ローグ》側のコンボが破綻する可能性があるためだ。《テンポウォリアー》は盤面のミニオンをバフすることが得意であるため、一度「ネルバー・ウェブロード」を処理できず見逃した場合、試合終了時まで残り続けることになる。またこれは「血盟の傭兵」によって増やされることが多く、こうなると《亡霊ローグ》側はほとんど身動きが取れない。

これを避けるため、対策としては何もバフされていない「ネルバー・ウェブロード」を、「SI:7の強要」+ヒーローパワーで処理することが重要である。ただし試合が延び、マナクリスタルが十分確保できそうな場合には、「サメの精霊」始動の「スキャブス・カッタバター」+「赤煙のテンウー」展開に切り替えた方がよいだろう。その場合、プレイ数稼ぎ用の0マナカードや「幻影ポーション」を引きにいくことになる。

プリースト

《40枚影レノプリースト》有利

このマッチアップにおいて、《亡霊ローグ》側が負ける可能性は低い。

主な負け筋は《40枚ランプドルイド》側が「狂乱公爵シオタ―」または「ドブネズミ」をプレイし、またそれらのカードによって「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「サメの精霊」のうち、いずれかを処理された場合である。

注意事項として、《40枚影レノプリースト》には相手の手札をコピーするカードが複数枚採用されている。これらのカードによって、《亡霊ローグ》側の手札にある防御カードをコピーされた場合、試合展開が苦しくなる。相手からのコピーを防ぐため、マナの軽い「雲隠れ」は余裕があるターンに使っておきたい。

 

《ビッグプリ―スト》有利

このマッチアップにおいて、《亡霊ローグ》側が負けることはまずない。

《亡霊ローグ》側は悠然と構えていればよく、相手を全く気にせずドローを進めるだけで、相手の展開よりも早くコンボを始動することが出来る。

唯一の負け筋は、「照明」からの最速「影の真髄」だけだが、これは他デッキでもおよそ太刀打ちできない《ビッグプリ―スト》側の上振れムーブであるため、運が悪かったと割り切るべきかもしれない。

パラディン

《動員パラディン》微有利または微不利

このマッチアップは、《亡霊ローグ》にとって苦しいものだ。「動員」によって「ネルバー・ウェブロード」や「遠方の番所」を同時展開する動きは、およそ致命的である。また「戦没者の剣」から貼られる「おおヨグよ!」に動きを縛られることも多い。

ただし《亡霊ローグ》に対して不利に働く要素が、これ以上ないのであれば、《亡霊ローグ》側が辛うじて有利をとることが出来る。これは何故かといえば、現在の「動員パラディン」は相手への妨害に注力しすぎたことによって、相手の体力を削る機能が低下しているためである。適切に防御カードをプレイすれば、コンボ始動を間に合わせることが出来るだろう。

注意点として「動員パラディン」側が「レナサル太子」や「訓戒」、「ライトフォージのキャリエル」などを採用している場合については、コンボ始動が間に合わないことが多い。

このマッチアップでは「遠方の番所」に対処するため、余裕があれば基本的なマリガンに追加する形で「SI:7の強要」をキープしたい。

ドルイド

《40枚ランプドルイド》有利

ドルイドについては、細かなフィニッシュ手段の違いこそあれ、基本的なゲームプランやデッキ構造は共通しているため、すべて《40枚ランプドルイド》として取り扱う。

このマッチアップにおいて、《亡霊ローグ》側が負ける可能性は低い。

負け筋としては《40枚ランプドルイド》側が「狂乱公爵シオタ―」または「ドブネズミ」をプレイし、またそれらのカードによって「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「サメの精霊」のうち、いずれかを処理することが出来た場合のみである。

通常の試合展開において、《40枚ランプドルイド》が獲得する10~30点程度の装甲は、《亡霊ローグ》側にとって問題にならない。コンボ展開において「ポスト乗り乗りダンサー」を複数回プレイすること、また「略奪の亡霊」を3回以上プレイすることを意識すれば、必要な打点は容易に捻出できるだろう。

仮に装甲が50点あったとしても、「幻影ポーション」を使用すれば、コンボ展開を2ターンに分割することで削り切ることが可能であるため、試合中に装甲をみてプレッシャーを感じる必要はない。

シャーマン

《40枚シャダウォックシャーマン》微有利

このマッチアップは、基本的には《亡霊ローグ》側が有利である。

このマッチアップの負け筋は大きく分けて2つ。

1つ目は《40枚シャダウォックシャーマン》側が「貪り食らうものミュターヌス」または「ドブネズミ」をプレイし、またそれらのカードによって「ポスト乗り乗りダンサー」、「スキャブス・カッターバター」、「サメの精霊」のうち、いずれかを処理された場合である。

2つ目は《40枚シャダウォックシャーマン》側が「剣匠オオカニ」をプレイし、さらに「スバラシインコ」などで、その雄叫びを複数回使用した場合である。

また《40枚シャダウォックシャーマン》側の構築にもよっては、「ロウゼブ」や「指紋鑑識官」、「教団の新入会員」などによってコンボ始動を妨害され続ける場合がある。こう言った場合、そのまま「シャダウォック」のループに入ったり、前述の負け筋を引く可能性がある。

基本的には、《40枚シャダウォックシャーマン》のドローの貧弱さから、こうした負け筋を引くことは少ないが、総合的に判断すると、マッチング時点で勝利を確信できるほどの相性差はなく、試合中苦戦することもあるだろう。

 

《偶数シャーマン》微不利

このマッチアップは、《偶数シャーマン》側の引きによるところが大きいが、高速な試合展開から基本的には《亡霊ローグ》にとって不利となる。

 

防御カードの使用については、3~4ターン目にクロックが急増することを考慮し、盤面の脅威を、実際に盤面にある打点よりも高く評価したうえで、どちらの防御カードを使用するか選択する。「影纏い」は、ほぼ確実に1ターン稼ぐことができるカードであるため、基本的には「雲隠れ」から優先的に使用する。

また《偶数シャーマン》の序盤の展開を凌ぐ手段として、1ターン目の「ブラックウォーター・カトラス」装備が有効である。1~2ターン目に召喚された《偶数シャーマン》側のトーテムを処理することで、「トーテム激昂」などのトーテムバフカードによるバーストを未然に防ぐことができる。

注意点として、場に「深淵の融合体」や「錨のトーテム」がいる場合、自陣に「凍傷」を打つことによって《亡霊ローグ》側のコンボを妨害する動きが想定される。理想的には、盤面上の体力3のミニオンを除去する、あるいは「凍傷」によるコスト増加を考慮したコンボ展開の準備を行いたい。

ローグ

《海賊ローグ》不利

このマッチアップは、《海賊ローグ》側の引きによるところが大きいが、高速な試合展開から基本的には《亡霊ローグ》にとって不利となる。

防御カードの使用については、1~4ターン目まで加速度的にクロックが増加していくことを考慮すると、なるべく早く「雲隠れ」を使用すべきである。また「影纏い」を使用すれば、基本的には1ターン稼ぐことが可能であるが、「艦載砲」の存在を考慮すると過信は禁物である。

このマッチアップでは「艦載砲」に対処するため、余裕があれば基本的なマリガンに追加する形で「SI:7の強要」をキープしたい。

 

《機雷ローグ》微有利《ミラクルローグ》微有利《亡霊ローグ》五分

 

これらのマッチアップについては、どれもコンボ系のデッキであり、また《亡霊ローグ》と大差ないターンにコンボを始動することを考えると、本質的には防御カードを多く引いた方が、そのまま勝利するマッチアップといってもいいだろう。

デッキに採用されているドローカードも共通しているため、リアルラック以外に勝敗を分けるものはほとんどなく、基本的な相性は五分となる。

 

その上で《機雷ローグ》はコンボの安定性という点で《亡霊ローグ》に劣っており、《ミラクルローグ》はそもそも防御カードを採用していないため、全体としては若干《亡霊ローグ》側が有利である。

ワイルド環境における《亡霊ローグ》の立ち位置について

基本的に、《亡霊ローグ》は高速の試合展開となるアグロデッキを不利対面とし、一方比較的遅い試合展開となるミッドレンジやコントロールデッキを有利対面とするデッキである。

ここで「影纏い」や「雲隠れ」といった防御カードの存在と、そこからつながる早期のコンボ始動によって、不利対面であるアグロデッキに対しても一定の勝ち筋を有する点が重要な加点要素となる。このデッキ特性から、通常《亡霊ローグ》は対面に依らず、一定の勝率を出すことができる。これは不特定多数のデッキとマッチングするラダーにおいて評価の対象であり、例えばレジェンド到達まで一つのデッキを回し続けるということであれば、優れた選択肢の一つとなる。

一方で「剣匠オオカニ」や「狂乱公爵シオタ―」などといったメタカードの存在により、有利対面であるミッドレンジやコントロールに安定して勝てない点は問題である。《亡霊ローグ》に対するメタカードが中立に多く存在する点も考慮すると、対策されやすく、レジェンド上位帯など人読みやカウンターが効果的な環境では十分に力を発揮できないデッキだと言えるだろう。